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ゆげ塾の構造がわかる世界史 [歴史]

読み聞かせ時間・・・中学生が読んで1時間弱くらいかな。高校生はわからない。
ウケ度・・・面白かったらしく、中学生男子も高校生男子も最後まで読んでいたみたい。
印象度・・・まったく新しい視点でびっくりしました。分析が正しいかは知らないけど、面白いのは間違いない。

ゆげ塾は池袋にある受験世界史専門の塾だそうです。さすがに専門だけあって、面白い!

最初に年表があって、そこに扱う章がかぶさる形でのっています。
1000年単位で扱う章もあれば、100年足らずの章もあります。
年表も、ポイントと必要なことだけ書いてあるので、すごくすっきりしています。

歴史の単なる流れではなく、根底にあるものを!
人物ではなく、その人物が動いた背景を!
みるそうです。

序章 坂本龍馬とアメリカ南北戦争
アメリカの戦没史上最悪の死者をだしたのは南北戦争。死者62万人。ベトナム戦争は5万2千人。
工業国でおきた大戦争で兵器の技術は大きく進歩。溝をらせん状に掘って玉を打つライフル銃の射程は旧式のものの3~5倍。命中率もあがりました。機関銃や潜水艦、缶詰の登場。部品の規格化や互換方式の導入で大量生産、修理が可能になりました。
南北戦争が終わると、こうした最新の兵器が大量の中古になったのです。
これを買いあさったのが坂本龍馬。窓口はジャーディン=マセソン商会のトーマス=グラバー。この商会はアヘンを清に売りつけていた会社です。儲けるためならなんでも売る死の商人といえます。
この最新の兵器が薩長にわかり旧兵器の幕府軍を圧倒したのでした。

第1章 ウサイン・ボルトはなぜ速い
ウサイン・ボルトはジャマイカ出身。
他の黒人陸上選手も新大陸の黒人が多い。
この理由は奴隷貿易にある。
鎖につなぎ、縛ったまま船に転がして、なるべく多くの奴隷を運ぶために選別の段階から屈強なものが選ばれ、さらい生き抜いたものが残る。奴隷労働が目的だから屈強な男女の子どもを強制的に作らせる。さらに過酷な労働をさせて生き残るものだけが選ばれる。
こうした結果、身体能力の高い黒人が残ったというわけです。
ところでヨーロッパ人はニジェール川河口あたりで、現地の黒人をつかって奴隷狩りをさせました。だから今でも沿岸部と内陸部は仲が悪く、内陸部の発展が遅れたのは労働人口が強制的に移動させられたせいという側面があるそうです。
ジャマイカに関してはブルーマウンテンという高級コーヒー豆が特産品だったのですが、急傾斜の高いところで栽培されるため、これに従事する黒人はさらに選別されていたのです。

第2章 クレオパトラはギリシア人
古代ギリシア文化圏は東地中海全域。
紀元前にギリシア人が住んでいたのはおもにペロポネソス半島。しかし山がちでオリーブやブドウしか栽培できない。小麦をもとめて彼らは様々な地域に植民して開拓。これがイタリアのナポリ、フランスのマルセイユなど。
ギリシア人はエジプトや植民地と交易をするので、記録をするために文字をつくります、これがアルファベットの起源。
ギリシアには大河がなく、大規模な灌漑や治水工事はいらなかったので、権力が存在しなかった。都市共同体がをつくって運営されていた。
オリーブオイルは食用だけでなく燃料になりギリシア人は夜も活動。油の保存容器は割れるとメモや書籍になり、ギリシア人の知的水準をあげます。ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどがでます。
アリストテレスの弟子はアレクサンドロス大王。彼はギリシアを率いて東方遠征、中央アジアを征服しインドまで攻め込みました。しかし遠征中に若くして死んでしまい、しかも後継者がはっきりしていなかったので帝国は部下によって分裂。
アンティゴノス朝マケドニア、セレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトなどが誕生しますが、どれもギリシア人が支配する王朝。ギリシア人は自分たちをヘレンスとyんで他の民族をバルバロイと呼び、ピラミッドの頂点に自分たちを置いて支配しましたが文化は融合しました(ヘレニズム文化)。これはアレクサンドロス大王の東西融合政策の流れを汲んだものです。共通語をコイネー(ギリシア共通語)にして集団結婚で血縁的には融合をはかります。数学も融合され、測地術などの使われます。ユークリッド幾何学、地球体説(エラトステネス)ファロスの大灯台、アルキメデス、地動説(アルスタルコス)などもこうして生まれました。
しかし軍事国家ローマの侵攻でこれらの王朝は滅亡。最後に残ったのがプトレマイオス朝エジプト。その最後の女王クレオパトラは、プトレマイオス朝の近親婚(これはエジプトの風習をうけついだもの)のため、ほぼギリシア人だったといわれています。7か国語が話せて、カエサルやアントニウスともラテン語やギリシア語で会話できたでしょう。
エジプトのかなり正確な暦をローマに導入したのはカエサルでユリウス暦とよばれています。カエサルやプトレマイオスが失脚し、クレオパトラが自殺するとローマの時代に入ります。
ローマの時代にはいっても共通語コイネーは地中海の標準語として残り、聖書もギリシア語でかかれていました。神話もローマのものはギリシアからの借り物といわれており、文化的にはギリシアが支配したといわれています。

第3章 なぜ、フランスは原発大国なのか?
フランスの原発依存率は77.7%。その理由は200年前までさかのぼります。
イギリスは産業革命がすすみ、機械化で人が減らされ、あまった人たちが都市にでて工場労働者の賃金がさがります。しかしフランスはフランス革命で大地主がなくなり農村で自作農をする人が多く、都市化はすすまず賃金は高いままでした。
イギリスはペティ=クラークの法則どおり、第1次→第2次→第3次と産業が発展し世界の銀行になりました。
しかし、フランスは賃金が高く工業化がすすまず、一気に金融業をはじめます。
普通銀行は貸すときは担保をとりますが、高利貸しはとりません。
イギリスは銀行、フランスは高利貸しな金融業でした。
これは植民地の面積の違いからきています。イギリスは自国のテリトリーが本国よりずっと大きかったのですが、フランスはそれほどではないので他の国に投資することになるのです。しかし、踏み倒されて大損しました。それはロシアのロマノフ朝に貸していたお金がロシア革命で反故にされたり、エジプトのスエズ国有化でスエズ運河株式会社の株券が紙切れになったりしたからです。
そして軍事的にはイギリスに依存していきます。第1次世界大戦ではイギリスに助けられスエズ運河の防衛もイギリスがやっているからです。しかしヒトラーが登場します。
イギリスはヒトラーがソ連をたたいてくれるのを期待して宥和政策を取りますが、フランスはドイツを恐れていました。しかし軍備を依存しているイギリスには逆らえません。ヒトラーはイギリスからうまく譲歩をとりつけると、いきなりソ連と不可侵条約を結びヨーロッパに侵攻。イギリス以上に工業化に力をいれていたドイツは強く、フランスはあっという間に負けてしまいます、イギリスからの援軍があってもです。
この反省から第二次世界大戦後、フランスは自国での工業発展、軍備、エネルギーの自給自足政策をすすめ、その結果が原発依存率にあらわれているのです。

第4章 ヨーグルトで知る遊牧民の戦闘力
銃がなかった時代の遊牧民は最強。騎馬で戦えるし、獲物を追うので目がいい。
この遊牧民にカリスマが生まれると組織化された遊牧民は大勢力になりますが、カリスマが死ぬと組織は瓦解する。一方農耕民は読み書きが得意で組織はだれかがぬけても維持され、徴税も記録があるのできちんとされます。
農耕民が遊牧民を傭兵として雇う、これが中央アジアのイスラム王朝(イラン)とトルコ系遊牧民です。トルコ系遊牧民はもともとモンゴル系と同じあたりにいたのですが、雇われて移動していったのです。こうしたトルコ系の人たちが中央アジアすみついたところがトルキスタンと呼ばれています。トルコ人はムスリムに改宗し、イラン人の傭兵をしますが、そのうち立場が逆転。トルコ人がトップに立って征服し、イラン人がしっかり税金をとるムスリム国家が誕生します。イスラム社会は平等・連帯・規律を重視するのでもともと戦時の士気が高いこともあり、こうしたタイプの国家が隆盛します。エジプトのマムルーク朝、アフガニスタンのガズナ朝、インドのムガル帝国、ブルガリアのブルガール帝国などです。でも最強はオスマン=トルコ。ウィーンを2度包囲。トルコ行進曲も生まれました。
家畜は定住しない遊牧民の唯一の財産です。でも肉はめったにたべれません。それで乳製品が普段口にするものになります。農耕民でない彼らは普通は貧しいのです。
ヨーグルトは彼らが草原を離れ広大な国を支配したことで広がったため、ブルガリアやインドなどでも食べられているのです。

第5章 なぜ、アメリカは銃を持つのか
アメリカ銃社会の起源は古代ギリシア
古代ギリシアの民主主義は一般市民が軍に参加していることからくるもの。みんなで守りみんなで政治もする。ギリシアの市民=重装歩兵であった。
しかし、中世に入り地球が寒冷化すると食い詰めた遊牧民が侵攻してきます。それまで騎馬で戦うための馬具がなかったヨーロッパは、このとき馬具を知ります。
そして馬にのり重装備で戦う騎士が登場します。これが当時の最強の暴力で、その暴力を背景に小領地で好き放題。初夜権の行使などもおこなっていました。
しかし近代になって銃が登場すると素人でも倒せるようになります。これがフランス革命などの市民革命につながります。銃が民主主義をつくったのです。
アメリカの独立戦争は、本国への市民革命の要素がつよく、独立宣言には政府が横暴なら倒すことができると明記されています。その精神があるのでアメリカでは国の他に州にも軍があり、警察組織も全国はFBIですが、州ごとの警察組織もあります。これは非効率ではありますが、国が横暴だったら革命をおこせる、銃で身を守れるという革命権に重きをおくためにアメリカが選んだ選択なのです。

第6章 EUの誕生国民とは何か 独仏ナショナリズム合戦
EUの誕生の背景には長年の独仏の争いがありました。
近代国家フランスは市民によるフランス革命によって誕生しました。フランス軍は自国を守るという使命に燃えていたため大陸最強となりました。平民国家フランスはナショナリズムで高い士気をもっていたのです。徴兵制はありましたが強制的な部分はあまりありませんでした。
徴兵制は国民国家が前提です。そうでないのに強制すれば、銃口は支配層に向くからです。
ナポレオン率いるフランス軍が1806年プロイセンと戦ったイエナの戦いでプロイセンは惨敗。屈辱のテイルジットと呼ばれる領土半減の条約を結ばされます。
これを契機にプロイセンは近代化を実施。農奴制の廃止にふみきります。またドイツ国民という概念をつくり広めました。兵役も20歳になった全男子が3年間行い、国民皆兵です。
そしてスペインの王位をプロイセンのホーエンツォレルン家が継ぐという話がもちあがったとき、フランスが反対したのを契機に晋仏戦争が勃発。近代化したプロイセン軍はノーベルが発明したダイナマイトも軍事利用して圧勝。50億フランの賠償金と石炭と鉄鉱の名産地アルザス・ロレーヌ地方を奪い、ドイツ帝国を名乗ります。
フランスは敗戦の原因をナショナリズムの不足を考え、小学校などでの愛国教育を強化、一方でユダヤ人差別などもひろがりました。
ドイツも油断せずナショナリズムを高めるために強制加入の社会保険が作られました。医療・失業・年金などの保険です。こうしてドイツの貴族階級と平民との格差は狭くなりドイツ国民でよかったということになります。
第1次世界大戦では双方が強い国民意識のもと兵隊を戦地におくり、双方1千万以上の兵力が動員されました。結果はドイツの敗北。アルザス・ロレーヌ地方は奪い返され、天文学的な賠償金を要求され、その講和条約はヴェルサイユで結ばされました。ドイツは上からの改革でナショナリズムを高めましたが、あまりに続く戦争にとうとう国民が反乱をおこしたのです。第一次世界大戦のあと、王朝が次々と倒れたのは、完成された国民意識を前提とする総力戦では身分制度や格差のある王朝では限界があることが示されました。
ドイツも敗戦の原因はナショナリズムにあると考え、登場したのは国家社会主義ドイツ労働党。ナチスでした。ヒトラーはユダヤ人を弾圧し、自分たちの連帯意識を高めフランスを打倒しますが、最後には英米の参戦で敗北。
さすがにドイツもフランスもナショナリズムに疲れたとき登場したのはロレーヌ地方出身のロベール・シューマン。何度も国が変わったこの地方は両親の国籍はフランスなのにドイツ軍で働くなどの悲劇がたくさんおきていました。その彼が説くヨーロッパ人という概念にドイツとフランスが共感。アルザス・ロレーヌ地方の共同管理からEUははじまったのです。2014年3月時点で加盟国は28か国。EUはナショナリズムの限界から生まれたのです。
EUに入るための絶対条件は死刑の廃止。EUの最大の目的は戦争を無くすこと。戦争は国家間で行われる殺人であり、死刑も国家による殺人と考えるからです。

第7章 なぜ、カトリック教会は2千年以上続いているのか
現存する世界最古の巨大組織。その強みは「童貞」
ローマ=カトリック教会は中世の西ヨーロッパ諸地域に展開していました。広い地域を管理するためにローマ教皇庁を頂点とする階層制(ヒエラルキー)をとっていました。布教のための組織=ローマ・カトリックの官僚機構。中世ヨーロッパでは文字の読み書きができるのは聖書が読める神父だけ、かれらは赴任先の土地の記録や管理など役所の仕事みたいなこともしていました。キリスト教区のルールとして作ったのが「贖罪規定集」
ヨーロッパには刑法上の罪=Guiltと宗教上の罪=Sinがありますが、Sinに関するルールを決めたものです。
結婚生活には妻とでも性交渉していい曜日や体位、裸にならないお風呂に一緒に入らないなど細かい規定があります。これは童貞のボーサンが妄想で書いたルールブックだったから。
ここまで性に厳格なキリスト教が受け入れられたのは中世が貧しい荘園世界だったから。ゲルマン民族の大移動で西ローマ帝国が倒れ、経済秩序が破壊され、イスラム圏に地中海の制海権を奪われ貿易も不可能。人々は北の深い森で小さな荘園単位の自給自足生活を強いられます。温暖で収穫も多く貿易で栄えていた時代にくらべてはるかに貧しいです。ヘンゼルとグレーテルや赤ずきんちゃんは姥捨てや子ども捨ての口減らしの話なのです。
貧しいため厳しい産児制限が必要で、小さな農村社会を維持するために離婚・再婚・不倫を禁じることがぴったりだったのです。
また世襲がなかったことも大きな要因です、ボーサンは童貞なので子どもがなく、トップは選挙(コンクラーヴェ)で決められ、次のトップを指名することもできないのです。

第8章 国際連盟を破壊し、国際連合と戦った日本
近代国家と「国際社会」の関係史
国連分担金をアメリカについで払っている日本ですが(アメリカ22%、日本10%)影は薄い。
しかし第一次世界大戦のあとにできた国際連盟では常任理事国であり、初代事務次長(No2)は新渡戸稲造でした。連盟を作ろうといったアメリカが議会の反対ではいれず、ソ連は革命で混乱していて、中国は軍閥でバラバラな時代。日本はサイパンやパラオを所有する東洋唯一の列強国家だったのです。
しかし太平洋の覇権をかけて日本を警戒するアメリカは、ワシントン海軍軍縮条約で主力戦艦保有率をきめたり、日英同盟を破棄するようにイギリスに働きかけたりします。
1929年の大恐慌のあと、植民地をもたない日本、ドイツは困窮。日本は植民地獲得にうごきますが、とがめられ揉めて国際連盟を脱退、その後ドイツも脱退、これは今の国連からイギリスとフランスが抜けるくらいのインパクト。国際連盟は崩壊。世界は第二次世界大戦につきすすみます。
第二次世界大戦は枢軸国(ドイツ・日本・イタリア)と連合国(アメリカ・イギリス・フランス・中国・ソ連)の戦いで当初は枢軸国が優勢でしたが、最後は連合国の勝利がみえてきます。そのころアメリカ大統領フランクリン=ルーズベルトが、戦後に連合国を中心に国際連合をつくるので、1945年の3月1日までに連合国側に参戦しなさいといってので、形式上参戦しようと大量の国が日本に宣戦布告。外務省はどこの国かわからなかったのでは?ってくらい。地図にすると世界中敵国だらけ。
つまり国際連合は軍事同盟が基になっています。だから連合国軍を派遣するという武力行使もみとめられています。国際連盟には武力行使はありませんでした。これが非現実的と今日では批判されています。
敗戦から10年後に日本は国際連盟に加入しましたが、これは敵国の同盟にはいったことになり、今でも「旧敵国条項」が適用されます。普通は連盟加盟国が紛争を起こすとまずは相談となり制裁となったら全員で行いますが、旧敵国の日本はいきなり攻撃されてもいいことになっています(事後承諾)
しかし戦後57年。スイスは国際連合に加盟しました。永世中立国のスイスが国連に加盟していなかったのは軍事同盟と考えていたからで、長い歴史の中で国連が軍事同盟ではなく平和機構としての役割をもっていると浸透してきた証といえるでしょう。
国連の最高意思決定機関は総会ではなく安保理事会。このため拒否権でことがすすまないということが多く、その影響を最も悪くうけたのはイスラエル建国といえるでしょう。


ゆげ塾の構造がわかる世界史

ゆげ塾の構造がわかる世界史

  • 作者: ゆげ塾(ゆげひろのぶ・川本杏奈・野村岳司)
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2014/03/19
  • メディア: 単行本



タグ:ゆげ塾
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